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台風による浸水などへの備え!大切な住まいは保険・共済で守られていますか?

住宅への浸水原因として多く挙げられるのが、台風などの大雨による内水氾濫及び外水氾濫です。
台風などの自然災害は、いつ発生するか予測が難しいものです。発生する前に備えを万全にしておきたいですね。お住まいがある地域の浸水想定区域の確認や、加入している保険・共済の水災害補償確認・見直しを忘れずに行っておきましょう。

甚大な被害をもたらす台風などの浸水被害

近年、発達した低気圧や台風などによる風水害のリスクが高まっています。まだ記憶にも新しい2019年10月に発生した台風19号は、後に「令和元年東日本台風」と名付けられるほど大型かつ猛烈な台風でした。大雨特別警報が発表された長野県、静岡県、東京都、岩手県などを含む1都12県では、記録的な大雨と風により河川の氾濫を含む甚大な被害が広範囲に発生しました。また、10月24日から26日にかけては、太平洋沿岸に沿って進んだ低気圧と台風21号の影響が重なり、関東地方から東北地方にかけて太平洋側を中心に広い範囲で大雨の被害が広がりました。総務省消防庁の2020年10月13日発表資料によると、この台風19号、21号による住宅被害は、全壊3,263棟、半壊30,004棟、一部破損42,491棟、床上浸水7,710棟、床下浸水22,231棟だといいます。

台風の浸水被害などに備えていないケースも多い

風水害から住宅を守るのは、ろうきんの取り扱う「すまいる共済(こくみん共済coop )」の場合、火災共済ではなく自然災害共済です。損害保険ジャパンなどの保険会社では火災保険の補償範囲に風水害も含まれますが、損害保険各社の主力商品は水災害補償を任意で不担保に設定することが可能です。

こうした背景の影響か、水災害に備えていない世帯が多いようです。平成29年3月に内閣府防災担当が発表した「自然災害に関する保険・共済を取り巻く現状と課題について」によれば、建物に対する水災害補償への加入率はおよそ69.5%と報告されています。

過去に発生した風水害に対して保険会社が支払った保険金は表1の通りです。

過去の台風や豪雨による風水災に関する保険金の支払いを表した表

火災保険の場合、水災害を不担保にすると保険料が安くなります。保険会社により差はありますが、ある保険会社では、水災害を不担保にすることで年間保険料67,690円(※1)に対しておよそ2割にあたる13,480円が下がるため、保険料を安くしたいがために水災害補償に加入しない方も多いようです。また、水災害補償に加入しない他の理由として、「河川が近くに無い」や「自宅が高台にあり、床上浸水の可能性が低い」という声も聞きます。しかし、河川が近くに無い場合でも、自宅が高台にある場合でも、多くの水災害が発生している実態があります。

台風の浸水原因としてあまり知られていない内水氾濫

水災害の原因は大きく分けて外水氾濫と内水氾濫に分けられます。外水氾濫とは、河川を流れる水量が大雨などにより増え、堤防から水が溢れたり、破堤したりして家屋などが浸水するケースを指します。河川に近い住宅地などであれば、一般的な水災害として想像しやすいものでしょう。一方で内水氾濫は、市街地に降った雨(内水という)が下水道や排水路からポンプ施設を経由して河川へと排水される過程で起こります。施設の処理能力を超える大雨が降ったり、降雨で河川の水位が上昇したりして排水ができない(追い付かない)ことで、家屋側へと逆流するものです。外水氾濫と違い、河川からの距離に関係なく、周囲との高低差により水が溜まりやすい地域に起こります。周囲との高低差が小さく、ゆるやかな傾斜になっている場合などでは、見た目にはどこが低いのかがわからず、雨水が溜まって初めて水災害のリスクに気づくということも少なくありません。

台風の浸水原因としてあまり知られていない内水氾濫

最近では内水氾濫による被害が増えています。2018年の台風7号がもたらした西日本豪雨では、全国で床上浸水が8,937戸発生しましたが、そのうち内水氾濫による浸水被害は、西日本を中心に19道府県88市町村で6,104戸と全体の68%にもなりました。また、風水害による被害額も増加しており、同じ2018年には9月4日に日本に上陸し大阪府、京都府、兵庫県などに大きな被害を与えた台風21号により、火災保険全体ではおよそ9,363億円、こくみん共済coopでは共済金として273億円が支払われました。

自然災害は個人の力で防ぐことはできません。大切な住まいを守るため、ぜひお近くのろうきんや、ろうきん「弥生会」の住宅建築業者にご相談ください。

※1 木造住宅(H構造)、保険金額は建物2,500万円、家財500万円、静岡県、特約一切なし、5年契約(年払い)で試算

「情報、経済、心の豊かさをサポートする」をモットーに、私、市川 貴博はエフアンドエス(F&S)・エキスパートの代表取締役として活動しています。
住宅ローンのアドバイスや手続き、家計の見直しに関する相談まで、長年のキャリアと実績を背景に、生活者の視点を重視したマネー相談を提供しています。
ファイナンシャルプランナーとしての専門知識を活かし、現代の住宅ローンや家計の課題にトータルで対応いたします。


ろうきん「弥生会」
住宅ローン・家計の見直しアンバサダー
ファイナンシャルプランナー
市川 貴博


以下 引用元等

写真      写真AC(https://www.photo-ac.com/
表1      一般社団法人 日本損害保険協会からデータをとり株式会社エフアンドエス・エキスパートが作成(https://www.sonpo.or.jp/report/statistics/disaster/index.html)
イラスト   イラストAC(https://www.ac-illust.com/)から建物と雲の絵を利用し、他の部分は株式会社エフアンドエス・エキスパートが作成